エルルカン・ビス(HERLEQUN BIS)[湯河原 フレンチ ランチ利用]

もとは恵比寿にあったこのレストランを訪れたのはいつのことだっただろうか。


あれから随分と年月が経ち、ある日雑誌を見ていたときに湯河原にエルルカンというレストランがあるということを知った。レストランの名称としてあまり一般的でもないし、もしかしてあのエルルカン?と思って調べてみたらどうやら今は湯河原でやっているようだ。
そのことを知ってからまた少し時間が経ったが、1泊の小旅行の帰り、当日の朝にランチを予約した。正確には覚えていないが恵比寿時代から10年ぐらい振りだと思う。

ランチは「木漏れ日のランチ 3675円」と「陽射しの中で宵の趣を 5250円」の2種類。後者は、アミューズ、一の前菜、二の前菜、魚料理、肉料理、小さなごはんもの、デザート2種、コーヒーと内容が充実しており、こちらを選択した。

まずは最初にスープから。舌をやけどするくらい熱々。




ひとつめの前菜はイカの料理。限りなく生に近いのだが、ほんの少し焼き色が付いている。イカ自体の新鮮さと炭火の香ばしさが合わさって洋というよりは和だけど良い感じ。そういえば包丁のはいり具合も和食のそれのようだ。



ふたつめの前菜はアジ。こちらも同様に焼き色はついているが限りなくレア。だが「刺身」ではなく、しっかりと味もついている。



魚料理は真鯛。白身の部分はふんわりとして、皮はパリっと。そこにスープがかけられて皿から湯気がたっており、もうそれだけで美味しそう。スープは透き通った上品な味。魚はもちろんだがスープまで全部すくって飲みほしてしまった。



肉料理は鴨。こちらも程良い火の通り具合。そして大きなグリーンパスパラは力強い味。



メインの後にはご飯ものが。タケノコが文句なく美味しい。



デザートは見た目は普通っぽい2品目のゴマのプリンが、食べてみると予想を超える味わい。


料理全般については、素材を活かした和テイストのフレンチ。などといってしまうと巷によくあるようなレストランを想像してしまうが、そのようなレストランとは一線を画す存在だと言える。
最近よくネットで見かける言葉で「料理に驚きがない」というコメントがあるが、私的には単に驚きを求めるために料理を食べているわけではなく、また料理に奇抜さを求めているわけでもない。素直に美味しいと思えるものがむしろ食べたい。


そういう意味ではこの日のランチは素直に「美味しいなあ」という言葉が口から出てくるような、そんな料理であった。
ロケーションは申し分ない。またレストランに向かうために坂を回り込むようなアプローチも事前の期待感を高めるために有効に働いているような気がするし、大きくとられた開口部から広がる竹林の風景もリゾート気分を盛り上げるとともに、どこかバリっぽい感じもある。
レストランの脇には足湯のスペースがあり、こちらはもちろん温泉。食後に足湯に入りながらゆっくりと旅の余韻にひたれるのも良い。



次はアンリ・エルルカンのほうにも行ってみたいものだ。

エルルカン・ビス (フレンチ / 湯河原)