坐忘林 宿泊記2 客室(日本人が旅する夏のニセコ2019 その5)

坐忘林の宿泊記、それではお部屋の紹介です。今回宿泊した部屋はベッドの寝室、そしてリビングに和室が隣接したタイプです。基本的には洋室を主体とした間取りとなっています。

玄関は通常の一戸建ての中に入ったようです。

室内に入って右側がサニタリーエリア、左がリビングとなっています。 リビングは一目見て高級そうなソファセットが。大きなリビングスペースでないと置けないようなサイズ感ですね。標準のレンズでは収まりきれないほどです。

派手な設えはないですが、置いてある家具や使われている素材はどれも上質なものばかりです。おそらくは慎重に選ばれたものばかりなんでしょう。部屋の中で調和を乱すようなものはありません。

またあまり余計なものが置かれていないのも好印象です。テレビもなくて良いぐらいですがさすがにそれだと退屈な人もいるでしょうね。でもこのテレビ、実は地上波を見ることはできなくてappleTVのみなので、私たちは滞在中このテレビをつけることはありませんでした。わざわざこの空間の中でhuluとかネット系のTVとか見ることもないと思いましたので。

空調は夏は付近の湧水、冬は温泉の自然エネルギーを利用したものです。真夏はちょっと暑い日もあるかもしれませんね。だからダイソンのタワーファンが置いてあるのでしょう。

でもよく考えたら今は普通の地上波よりamazonやabema等がみられるほうが嬉しい人も多いかもしれませんね。私が勤務する会社の若い子たちも地上波を見ている人は少ないです。

窓の外には眩しいくらいの緑が目に飛び込んできます。

坐忘林という旅館の名前の「坐忘」とはもともとの由来は 道教の修養法のひとつで、静坐して心をしずめ、世俗を忘れて大道と一体となることから来ています。つまりはこの空間で自然や自身と対峙するようなことをイメージしてのネーミングかもしれませんね。最近レストランや施設の名称で「坐忘」と使うことがありますが「ZEN」と同じで中にはイメージとかけ離れた空間のところもありますけど、ここはしっくりきます。

こちらの旅館のオーナーそしてクリエイティブデザイナーは英国人で、すなわち坐忘林は外から見た日本の美を体現しています。でも不思議なのは最近の日本旅館よりよっぽど日本の良さを理解しているように見えることです。いやだからこそ理解しやすいのでしょうけど。

一方で建築家は北海道を拠点とする日本人です。印象的なのは日本旅館でありながらエントランスは無機質であり、下界とその奥の「住空間」とを明確に区切るためにあえてこのような作りにしているのかなと感じました。だからこそ客室はやみくもに豪華さを打ち出すのではなく自宅のように落ち着ける空間にしているのだと思います。

冷蔵庫やエスプレッソマシン、グラスなどはすべてボードにおさめられています。コーヒーや紅茶に使うためのお水(おそらくは付近の湧水)も用意されています。オリジナルのおかき(無料)も入っていました。グラスも良いものを使っています。

冷蔵庫のソフトドリンクは無料で楽しめます。コーラはともかくファンタ等だとあっても飲まないですがストレートジュースはうれしいですね。

ベッドルームからも窓いっぱいに緑が広がります。しかも一枚ガラスで床もサッシュレスですからより外と一体となります。ベッドのマットレスはどこのメーカーかは確認しませんでしたが上質で寝心地も好みでした。

ベッド脇にはデスクがあり書類を置くような十分なスペースもあります。但しイスはもうちょっと実用寄りにしてほしかったところです。こういうところだからこそ仕事に没頭したい人はいるかもしれないので。ラウンジではずっとパソコンで仕事っぽいことをしている外国人もいたので。

デスク横やベッドサイドにはコンセントやUSBもあります。コンセントはユニバーサルタイプでないのが意外です。ベッド回りは木質パネルですが、ここに関してはもう少し質感を高めても良かった気がします。

ベッドルームのクロゼットには和の素材の室内着が。バスローブもあります。

全体的にハードは一流なのですが、こういう備品の置き方とか、ベッドメイキングとか後からふれるサービス面や人的な側面はやはり高級ホテルと比較すると素人臭さが残ってしまうなあというのは正直な感想です。もちろん不快感があるとかサービスが良くないということでは全くなく、あくまでも高級と言う視点からの話です。アマンとかさすがにそのへんも完成されていますよね。

トイレは独立したスペースになっており面白いデザインも手洗いもあります。上から伸びてくる筒から水が流れます。ここもエイジングされていますね。札幌の居酒屋で似たようなデザインを見たような気も。

水回り。洗面カウンターはスペース的には十分なのですが何故かシンクはシングルです。これはダブルにしても良かった気がしますが何か意図があるのでしょうか。

アメニティー類は紙に包まれています。あとはスキンケアセットも。すべて引き出しに入っています。

内湯の浴槽は2人でも十分に入れる大きさ。シャンプーやコンディショナーはオリジナルでボトルタイプです。地下からくみ上げた温泉は内湯・露天共に掛け流しです。15室だからこその贅沢ですね。写真に映っていませんがハンドシャワーの他にレインシャワーも設置されています。

それでは露天へ。天然木による壁面で横方向の外部とは区切られ、自部屋からは続きの天井材と一枚窓で一体化しています。浴槽は天然石をくりぬいたもの。こういうのも探すのも一苦労だったでしょうね。こちらもトイレの洗面と一緒で天井から筒でお湯が落ちてきます。

ここに浸かって緑を眺めていると鳥の声とそよ風がそよぐ音しか聞こえてこず、本当に無の気持ちになれます。

次回はパブリックスペースをご紹介します。