今は再び休業に入ってしまった銀座・並木通りにあるハイアットセントリック銀座ですが、10月~12月の各1ヶ月は月20万円のサブスクリプション・ステイプランを実施していました。
1日あたりに換算すると何と約6600円、これは銀座の中心地ということを考えるとGo To Travel対象外、ハイアットのポイントや宿泊実績の対象外とはいえ破格の値段。
私は劇的に安いとはいえ宿泊実績もつかないということがひっかかりスルーだったのですが、妻のほうは1ヶ月銀座でテレワークしながら住んでみるのも普段にはない体験ということで面白いかもと妻のほうで予約をしました。
1室2名までは同料金だったので私もそれに乗っかれば良いだけなのですが、セパレートにならない部屋で2人でテレワークというのは様々な理由で現実的に無理なので(インターコン別府や石垣の時は夫婦でそれぞれ必要に応じて別の執務空間を確保できたので良かったのですが)、じゃあ私は週末以外は神楽坂の自宅で、妻は銀座にいてたまに夜の食事等で会おうとかと思っていました。
そんな折にタイムリーに開業したばかりのアロフト銀座からGo To適用前でも1泊1万円程度の格安料金プランが登場。両ホテルは徒歩でも10分かからない距離です。
それならば私は平日はおおむねアロフト、週末はセントリックで過ごし、休日はもちろん平日の昼も夜も待ち合わせて銀座で一緒に食事をしたりできるという計画となりました。
その時のアロフト銀座東京の宿泊記はこちらをご覧ください。
そうそう銀座にあるこちらのオフィススペースを利用したりもしましたよ。
私はそもそもマリオットというホテルチェーンに個人的には興味がなく、この先もマリオットのステイタスはアメックスプラチナに自動附帯のゴールドより上は取ることはないだろうと思っていたのですが、かかる費用も知れていますしどのみち泊まるのならついでにプラチナまでとってみることにしました。
というわけで早速IHGのスパイア・エリートからステイタスマッチをしてマリオット・ボンヴォイのなんちゃってプラチナになりました。90日間に15泊はほぼ12月中で8~9割方は達成できる計算です(平日に自宅で仕事をする日もあったので毎日泊まったわけではないため)。
マリオットではなく昔のSPG系列にはそれなりに愛着があって新御三家と呼ばれていた頃の恵比寿のウェスティンは良く利用していたのですが。。
当時恵比寿のウェスティンで独自に発行していたウェスティン・ウェイというお得なポイントカードもまだ数百人ぐらいしか会員がいない頃に発行してもらっていましたし。
マリオットとアロフトの話はいずれ別の機会に話すとしてハイアットの話に戻します。
今回のハイアットのプランは以下のような内容でした。
・1か月分の宿泊(12月の場合は12月1日チェックイン~1月1日チェックアウト)
・ランドリー1日1部屋5点
※午前11時までに回収、18時に戻し。合算利用や11時以降の受付は不可。シャツやブラウス、スカート、ズボン、下着等も可能。
・特に明記はされていませんでしたがシーツやタオルの交換、ベッドメイキングは毎日可能でした
・駐車場は同ナンバープレートの車輌1台のみ1ヶ月無料(道路の歩行者専用時間以外は出し入れも自由)
・フィットネスジム(24時間利用可能)、ウェアのレンタルは有料
駐車場無料とランドリーサービスは本当に有難かったですね。シャツはランドリーのみとは書いてありますが、いつもプレスしたような仕上がり状態で届けられていましたし、駐車場は週末は郵便物や洗濯等のために神楽坂に戻っていましたのでその際に便利でした。
簡単にパブリックスペースやお部屋の紹介を。
ロビーフロアにはクリスマスをイメージした作品が設置されていましたが、芸術家の方には本当に申し訳ないのですが自宅マンションのごみ置き場のごみの山に見えてしまい、自分自身のセンスの無さを痛感しました(笑)。それとも私自身がモノからコトへという流れの中でモノに対する興味をこの10年ほどは失ってしまったので(高価な装飾品や製品など)、銀座を象徴するようなギフトの山がごみのように見えてしまったのかもしれません。
ロビーフロアのスペース。こちら原則として宿泊者用で意外と空いているので時々利用していました。
エレベーターホール。壁面にもアートが。
今回宿泊したのはスタンダードなツインルーム。決して広いわけではないのですが空間の取り方がうまく快適度は高い部屋です。この一つ上のデラックスタイプになると部屋面積も広くなり更に格段に快適性が増します。
部屋の中もパブリックスペースも銀座やオーナーである朝日新聞社にまつわるアートがちりばめられており、地味でも派手すぎることもない絶妙なバランス感でまとめられています。銀座のしかも並木通り沿いの地価の高い場所にあるためラックレートの割には部屋が狭いのを別にすればとても印象は良いですね。オーナー企業としては単なる宿泊施設ではなく会社と同様に「文化的な」存在にしたかったのでしょう。
キューブ型におさまっている洗面カウンターやミニバーも機能的ですね。都心のおしゃれな1DKマンションではキューブ型のアイランドキッチンがあったりしますがそういうのを思い出しました。
冷蔵庫は引き出し式。感染対策でミネラルウォーター以外は空になっていました。
四方のいろんな場所から引き出しが出てくるのは面白いですね。
浴室は洗い場付きでユニットバスのサイズで言うところの1618ですからかなり大きいですね。バスタブの形が微妙で滑りやすいのは減点ですが、スタンダードルームのバスとしてはかなり寛げるタイプではと思いました。
トイレもセパレートです。最近のホテルはトイレが独立のところが増えましたね。
各種アートについてはハイアットセントリックのWEBサイトに解説があるのでここでは詳しくは紹介しませんが、こういうアートに毎日ふれて過ごすことができるのはホテル暮らしならではですね。
食事はバーやレストランを何度か利用しました。夕食はGo To Eat対象のプランをサードパーティー経由で。ドリンクも3杯ついて驚きの安さでした。料理の内容は以前と同じようなメニューなのですがコロナ前後で調理者が変わったのか味は前回より落ちたように感じました。ちなみにこの時のサービス担当の方は感じよかったですよ(別の日にバーを利用した時は最悪でしたが)。
これがそのとても感じが悪かったバーで飲んだ時。以前は雰囲気も感じもよくて何度も利用していたのにどうしたセントリック銀座! ついでにいうとカクテルも美味しくなかったです。
コロナ禍で普段とはまったく違うクリスマスシーズンだったとはいえ12月の銀座の朝と昼と夜を肌で感じられたのは楽しかったですね。
大晦日は銀座三越に予約していたおせちを取りに。有名レストランが直接調理を担当しているようなものは早々と売り切れていたので、有名シェフが監修のみしているお手頃な価格のものにしたのですが、それでも十分すぎるほど美味しいものでした。
ロビーやエントランスの飾りつけもお正月仕様になりました。
元旦の朝の銀座。
滞在中に感じた事をあらためてまとめると、
新型コロナ前にこちらのホテルはレストラン利用を中心として何度か利用していましたがその際の印象は決して悪くはないものでした。というか好きなホテルでした。但しコロナ以後9月末までホテルは休業していたため良いスタッフを集められなかったのか以前と比べホテルのサービスランクは大きくダウンしているように見えました。
例えば10日以上毎日顔を合わせているにもかかわらず、エントランスやロビーを通ったりすると日本人スタッフには何日経っても「チェックインですか?」とか「レストランのご利用ですか?」とか言われました。外国人のスタッフのほうが総じて優秀で、中華系のあるスタッフは話した内容もよく覚えていて「おかえりなさい」「いってらっしゃい」といつも笑顔で出迎えてくれました。押しつけがましくない自然なフレンドリーさでこの方はとても好印象でした。
日本人で唯一こちらのホテルでいつも顔を覚えてくれていて的確に対応をしてくれたのはビルの駐車場のオジサンでした。
同じ時期に宿泊していたアロフトは数泊ずつ何回かに分けて宿泊していましたが、朝食の際などいつも話しかけてきてくれて、メニューの好みを覚えてくれていたり様々な提案をしてくれたりしてもらったのとは対照的でした、
少し宿泊間隔が空いた後に再び宿泊した日にもどこからともなく現れて「お久しぶりです〇×さん、またお会いできてうれしいです」と挨拶をしてくれたりもしましたし。別に挨拶してほしいわけではないのですが、何というかゲストへの姿勢が全然違うと感じた次第です。
滞在中、ちょっとした記念日以外は食事はほとんど外でとりました。というのも(ハイアット本体の3倍キャンペーンのポイントはつくものの)サブスク利用者に対するレストラン割引は全くなく、これはサブスク宿泊者には12月はあまりレストランは利用してほしくないのだなと理解したためです(ちなみに10月限定で食事のサブスクのオプションもありました)。大幅な割引がたとえ難しくとも例えば夕食時にグラスワインをサービスするとか、食後のコーヒーはサービスするとかちょっとしたことでもあると良かったかな。
ハッピーアワー時間帯に通常メニューを持ってきた時も謝るでもなく面倒くさそうに出してきたり、サービス内容でホテル側が間違えたのにそれを指摘すると隠そうとしたり、微妙な場面が何度もありました。当初は少なくとも館内の食事で10万~15万程度は使う見込みでしたが、そういうわけで3万にも届かなかったですね。
お正月のイベントメニューも年末ぎりぎりになって出してきたので(確か大晦日の前日と記憶)、既に部屋で食べようと思いおせちを三越で注文した後でした。大晦日もミニサイズのお蕎麦が出ただけでもっぱら三越で買ってきたもので楽しみました。
今回のサブスクプランはおそらくはホテルのステイタス獲得が主目的の人たちには刺さらなかったはずなので、雑誌やネットの記事を見て興味を持ち利用した人が多かったと思います。そういう人をホテルのファンにする良い機会だったはずなのですが、ただの格安プランとしてしかホテルやスタッフがとらえられなかったために折角の画期的なプランがどうにも勿体無いものになってしまったなというのが感想ですね。個人的には十分価格以上の価値はあったと思いますが。
色々気になることを書きましたが、やはり20万で銀座に1ヶ月住めた経験は貴重で、今まで気づかなかった銀座の様々な風景を新たに発見することができましたし、またテレワーク生活を続ける中で今までと違う暮らし方を実践できた意義も大きかったです。
そういう意味ではこのプランを利用して本当に良かったなと思いましたが、一方でハイアットセントリック銀座への評価は幾分下がってしまったのは残念です。
最近帝国ホテルが同様に滞在プランを発表し大きな話題を呼びました。そちらはわずか30分ほどで売り切れたそうです。もちろん瞬間で売り切れたのは帝国ホテルのブランド力が大きいのでしょうが、加えて何よりも老舗ホテルの意欲的な攻めの姿勢が利用者の心を動かしたのだと思います。