最近たまに思っていました。理想の旅行ってどんな旅行なんだろうって。
「永遠の旅人」、生涯ずっと旅行し続けたいというセンチメンタルな考えはやはり自分の中にはあります。学生の時から中長期・短期と様々な旅行をしてきましたし。
高校や大学生の時は鉄道旅行が多かったです。高校の時はクラスメートと、大学生になってからは1人の旅行も増えましたね。高校生の時に印象に残っているのは青春18きっぷを使ってクラスの仲間数人と大阪から北海道まで普通列車だけで旅行をしたこと。当時は普通列車の夜行がいくつか残っていましたし、夜行がないエリアではお金もあまり使いたくないので駅の待合室で夜を明かしたりしました。そうすると駅の人が普段は夜間切っているストーブを一晩中つけてくれたのも有り難かったです。たった5日間でしたが、普段の学生生活の1年より濃い時間を仲間と過ごした気もします。
大学生の時はクラスメートと今度はヨーロッパを鉄道で2か月ぐらい旅行しました。当時は長距離列車がたくさん走っていてユーレイルパスを使っての旅行は本当に楽しかったですね。トーマスクックの時刻表とにらめっこしながら一つでも多くの国と地域を回ろうとしました。それこそ北欧からギリシャまで、時には飛行機や船も使って十数か国を訪れました。スペインのタルゴ寝台車や風車、フィヨルドの観光列車と観光船と高すぎる食事、ライン下り、TGVアトランティック線で行ったボルドー、スイスの氷河急行食堂車の傾いたグラスや登山電車の風景、ギリシャの島々、パリの安定食屋のステーキ、スコットランドのスカイ島の風景、経由地のドバイ、帰りに立ち寄ったマレーシア、色々と今でも思い出します。
もうひとつ何度も出かけたのが北海道。当時は20日間有効の周遊券がありましたので、その期限ギリギリで様々なエリアを回り登山をしたり、歩いたり、観光地というよりはもっとマイナーな場所を見て回りました。今の「kiritappu」という名前はもちろん北海道の地名から来ています。いかにも北海道らしい地名の場所にしようと。パソコンがWindows3.1の時にインターネットを始めましたが、当時からその名前は変えていません。
社会人になってからはとにかく仕事が忙しかったので長期の旅行は難しく、国内はともかく海外はアジアが中心に、航空券と宿だけついたパッケージを使うことが多かったです。そんな中で今につながる旅行スタイルのきっかけとなったのが香港。
香港は3日間のJALパックのパッケージでしたが、その際にたまたま宿泊ホテルになったのがマンダリンオリエンタル香港です(当時香港が不人気で往復JALの行き朝発、帰り午後発でMO香港2泊付き6万円台でした)。そこでは一度ベッドメイキングした部屋がホテル内にあるショップにオリジナルのチョコを買いに行って付近を散歩した1時間足らずの間に再び備品の補充がされていたり、ドアマンにもすぐに覚えてもらい「おかえりなさい」と言われたり、おそろしく手続きが早く何でも短時間でこなしてしまうフロントだったりと今までに経験したことのない世界が広がっていました。そう言えばこの旅ではリージェント香港のロビーからの夜景にも感動しました。そこから高級ホテルの世界に興味を持ち始めたのです。
その後は高級志向の旅に移ったのかと言えばそうではありません。そこから数年後、最初に勤務した会社を辞めて長い旅行に出発しました。そこに沢木耕太郎の「深夜特急」の影響がなかったかと言われれば嘘になります。今のうちにそういう旅行をしないと後悔するとその時に思ったのです。
トルコ航空(現在のターキッシュエアラインズ)でインスタンブールに入り、カッパドキアを見た後にバスで国境を越えて信号がなく雑然としたシリア・アレッポの中心部に降り立った時に、目の前に広がった光景を見て、本当に「遠く」に来たんだと感動で体が震えました。それはガイドブックを見ることではわからない感動でした。


第2次インティファーダが始まっていたエルサレムでも多くのことを学びました





でも中東や中欧、南米、東南アジア、南アジアを旅行する中である日突然「もういいかな・・・」と悟ったのです。それはアフガン侵攻後で旅行者がほとんどいなかったパキスタン、そしてネパール、インドを旅行しているときでしたが、インドに行くと人生が変わると言われる中で、私にとっては各国を旅行しているうちに「人生が変わる」感覚がマヒしてしまっていて、特に何も感じなくなったのです。そして潮時かなと思ったのでした。











そこから先は今のスタイルに近くなってくるのですが、高級ホテルやエアラインのビジネスクラス等、サービスを楽しんだり、今までとは別の世界を知ることが出来たりすることに興味がシフトしてきました。そこには20代の早い時期でのマンダリンオリエンタル香港体験が大きく関わっています。
そうやって振り返ってみると、自身の置かれた状況や年齢、経験、様々な出会いによって興味や関心が変わり、旅行のスタイルが変わってきたと言えます。
つまりは理想的な旅行や最上の旅行は人生の中で変わっていくということなのでしょう。バンコクでホテルのとあるレストランで美味しい食事をしたことを昔、当時のネット掲示板に書いた時、「ホテルでなんて食事してバンコクは理解できない」と言われたのですが、では街の屋台で食事をしたらバンコクがわかるのかというとそんなことはないと思います。でもそう信じて例えば屋台グルメをつきつめることはそれはそれで意味があるかもしれません。
なので「そういうのは旅行じゃない」とか「本当の旅行」は「こうあるものだ」というのは自分の中では持っていていいと思うのですが自分以外の人にとっては大きなお世話で、それぞれが本当に自分自身が「やりたい」と思っているスタイルで「楽しく」感じられれば、それが「理想」の旅行なんだと思います。旅行の期間が長い短い、行先がどこか等は関係ないです。
高級体験もそれに「ふさわしい」年齢になったらすればいいという意見もあるかもですし、一理あると思うのですが、興味を持った時が「タイミング」であり、それを先延ばしにすれば老人になってから「もっと若いときにすればよかった」と思うかもしれません。私は平凡なサラリーマンですが、できる範囲の中で「やらなかった」後悔はできるだけしたくありません。
私もこの先どういう旅行のスタイルになるかは自分でも予想できません。もしかしたら今とは逆になるかもしれませんが、いまを大切に(もちろん将来への備えはしたうえで)生きていきたいと思います。
普段あまりブログでこういうことは書かないのですが、たまにはと思い。特に誰かから言われたとかではなく、何となく書いてみたくなったのです。
長文失礼しました。

コメント
コメント一覧 (5件)
初めてコメントいたします。
素敵な旅をされているのを、いつも憧れの気持ちで読ませていただいています。なかなか自分では手の届かない内容であるのに、実直な語り口でいらっしゃるので、素晴らしいな、美味しそうだな、きっととても良い空間なんだろうなと素直に読み進められる心地良いブログです(偉そうなことを申しましてすみません!)。
今回の記事、本当に共感いたしました。大学時代に買った「深夜特急」全巻は今も書棚に並んでいます。
私自身も楽しいだけではなかったひとり旅を10代で初めて経験してから、それでも今も、少ない回数ながら旅に出ることに魅せられています。その割に何かを得たとか、考えや人生が変わるような、よく聞くドラマチックな経験はしていないんです。でもこれからも旅に出続けたいと思っています。
長々と失礼いたしました。
これからも楽しみにしています!
もらんさん、はじめまして。
いつもブログをお読みいただきありがとうございます!
お褒めの言葉、もったいないです。
宿泊記や観光の体験記ももっと感情を出したほうがいいのかなと思いつつ
ブログ自体がまずは自分の備忘録であり、またありのまま記録することで
他の方が旅行するときの参考にしてほしいという趣旨ですので
状況などわかりやすく書くよう心がけています。
「ドラマチックな経験」は旅行や人生のそれまでの経験値に加えて
もしかしたら、ですが、その人のキャラクターにもよるのかなあと。。。
例えば「かたくな」だったりあまりにも「型にはまったり」
してきたような人だと例えばインドで常識外のことに遭遇して
人生が変わるようなことを感じるのかもしれない、とか。
なので思考がもともと柔軟な人だとならないのかなあとか、勝手な想像ですが。
(全然的外れかもしれないですがそう思ったりもしました)
深夜特急は私も同じく今も書棚に並んでいて、たまに読みます。
素晴らしいと思うのはノンフィクションでありながら
小説であり、人生論であり、ファンタジーになっているところかなと
思っています。
その沢木氏の「旅する力」という本でモロッコ旅行で彼はドイツ人の男女と出会い
当時の深夜特急の旅行の話をするのですが、そこで目を輝かせた男性に
つい軽口で「今からでもできるじゃないですか」と言うのですが
それに対する答えが「Too late…」でした。
そして沢木氏が「そうか、そうかもしれないな」と感じるのですが、
これはすごくわかる気がしました。
kiritappuさん、こんにちは。
コメントを書いたのですが、文字数に制限がありましたので、こちらをその1とさせていただきます
素敵なお話しを伺うことが出来て嬉しく思います。
興味深いお話ばかりなので読み返してしまいました。
多くの経験があったからこそ現在のkiritappuさんがいらっしゃるのですね。
シリアのアレッポのお写真は、今となっては貴重なお写真ではないでしょうか。。
私も中東はドバイだけですが、はじめて行った時例えようのない空気を感じとりました。
緊張感をもって滞在したことを記憶しています。
でも私は中東好きです。。。
仕事で各国からの入電の受入れをさせていただいておりますが、お国柄や法の違いがあり把握するのに充分な時間を要する時もあります。英文の読み違いをすると裁判になった時、勝てないというリスクも抱えています。一番辛いのはIndiaです。ここは難しいです。。
その2へ続く
mari➰
旅は、人の意見もある程度参考にさせていただくとしても、批判や自分の意思を押し付けたり、否定的な発言は私もあまり良いことではないと考えます。
おっしゃるとおり、経験や年令、人との出会いによって旅のスタイルも変化してくると思います。
バンコクの屋台でお食事するのもホテルでお食事するのもどちらも御自身にとっては最上の旅ではないでしょうか。
価値観の相違では?と思います。
バンコクでのkiritappuさんとのすれ違いは私にとって思い出深いものとなりました。
これからの旅のスタイルがかわっていくかもしれません。
ただ1つだけ変えてはいけないこと。
私は、はじめてインドネシアを訪れたとき
一人の少女との出会いがありました。
その時から、私は海外の恵まれない子供達の力になりたい。そんな強い思いがあります。
宗教の壁や言葉の壁がありますが、何度も足を運び私を信じて頂くために時間をつくってはインドネシアへ行っています。人のために自分のためにがんばる。
これが私の最上の旅かもしれません。
kiritappuさんの最上の旅。これからもこちらに綴ってくださいね。
一生懸命追いかけます‼笑
mari➰
mariさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
シリアのアレッポはおそらくはこの写真の風景は今は変わってしまっているのでしょうね。トルコとの国境付近も今では近づけないような場所になっていることでしょう。同じくパルミラの遺跡(次の写真)も多くは壊されたようです。私は行ったころのシリアは首都ダマスカスを夜に女性一人で歩いても問題ないような安全な街でした。もちろんその頃も独裁政権ではあったのですがEU等の西洋的価値観を押し付けることが本当にシリアのためになったのかは微妙にも感じました・・・。
各国からの入電は神経を使うお仕事ですね。新規取引に伴うものだったり、あるいは貿易関係のものだったり、いずれにしろ間違いが許されないので大変なことだと思います。インドは何でもありなので気が抜けませんね・・・。
旅行への考え方については今思えば若いときから比較的思い込みは少なかったかもしれません。ちょっとあまのじゃくかもしれませんが誰かが決めつけたようなことを言うと本当にそうなの?と疑問を持ってしまうほうなので。
最後に、mariさんの最上の旅、素敵ですね。というと上から目線のコメントに聞こえてしまうかもですが、旅に何でもいいんですけどそういうテーマがあるのはいいなあと思いました。