オーベルジュ・ド・リル サッポロでライトなランチ(札幌グルメ42 2022年8月)

オーベルジュ・ド・リル サッポロに前回来たのは、まだこちらのレストランがル・バエレンタルという店名だった時で、しかも実は3.11の日でした。レストランでデザートをいただいていた際にあの出来事が起こったのですが、(遠く離れた札幌なので)そこまで大きくはないもののしっかり体感はできる揺れで、かつ随分長い地震だなあと呑気に思っていました。その後に速報を見て事の大きさを知りレストランを出て何だか信じられない気分で雪が積もっていた円山公園を歩きました。地震のその後のことはここで説明するまでもありません。本来は日曜日に帰る予定だったところ1日早く空港へ。私たちは幸いにしてJALの上級会員であることが功を奏してか新千歳を出発する便のキャンセル待ち予約が取れ震災の翌日には既に羽田に降り立っていました。その日の新千歳空港には人があふれ、予約が取れない人たちで殺気立っていましたね。

なので東京在住の他の人にように金曜日に帰宅難民になったりすることもなく、帰ってみれば幸いにして自宅マンションの家具も電気やガス、水道も被害はなく、何というか大震災という共通の体験が抜け落ちてしまっていました。ニュースを見てもどこか遠い国の出来事のようでそれはそれでちょっと疎外感があったりはしましたね。私は大阪で生まれ育ちましたが阪神淡路大震災の時も既に東京に来ていたので体験はしていないです。

東日本大震災から1か月半後にボランティアで陸前高田や大槌を訪れ、ようやく大震災が現実のものとして受け入れられたような気がします。それから10年はほぼ毎年何らかの形で三陸を訪れていました。そういう経緯もありなかなか足が向かなかったというのはあります、レストランには何の責任もないのですが。

話を戻してバエレンタルというのはフランス東北部の地名で、札幌と雰囲気が似ていることから店名になりました。バエレンタル村のランスブールというミシュランレストランとその当時は提携をしていましたね。今は同じくフランス東北部、アルザスのオーベルジュ・ド・リルと提携をしています。

正直なところ現地のフランス東北部と札幌がそんなに似ているとは思わないのですが、建物の雰囲気で言えばいま日本に3軒あるオーベルジュ・ド・リルの中でアルザスのそれに一番近いのは間違いなく札幌だと思います。私は札幌の町はむしろヘルシンキあたりと「空気感」が近い気がします。似ているというのはちょっと違っていて町の「空気感」です。ただ近年札幌は高層ビルが増えているので以前よりそれは感じなくなってきました。

ついでに言うと東京のオーベルジュ・ド・リルの建物は個人的にはやはりジョージアンクラブのイメージが強いですね。まだ若かったころに初めて訪れてこんな華やかなレストランがあるんだと感動しました。オーナーYさんに見せてもらった上階にあるゲストルームも素敵でしたよ。

この日は「さっぽろ割」クーポンを握りしめて札幌別宅から徒歩で妻と共にレストランに向かいました。ちなみにさっぽろ割クーポンは妻がテレワークで札幌に来ており宿泊ホテルでもらったものです。予約をしたのはランチの一番安いコースだったうえに株主割引とクーポン併用で近くのレストランに来ましたみたいな雰囲気の招かれざる客で申し訳ないなあと思いながら。ライトな内容にすることが増えたのは最近本当にフルで出てくるコースが過剰に思えてきたというのもあります。やはり年なんでしょうか、まだ引退する年齢でもないのですが。

このエントランスの感じは気分が上がりますね。

ひらまつグループというと、シャンパーニュはひらまつラベルのドゥラモットが想起されますが、この日はシャンパーニュではなくアルザスのスパークリング、クレマン・ダルザスから。

まずはアミューズを。

玉蜀黍のババロアと車エビの香草マリネ。

次は道産のワインにしてみました。本当に北海道は美味しいワインが増えました。

穴子のフリットとタブレ、赤パプリカのムース。穴子は好きな食材なのでこうやってコース料理の中に出てくるとうれしいですね。

真鯛のポワレとズッキーニのトゥルト ベアルネーズソース。トゥルトとは包み焼きのことです。真鯛だけでなく包み焼きまで付いてくるのはうれしいですね。ちなみに一番安いランチコースのメインは本来は鶏料理なのですが魚に変えてもらっています。

プレデセールとして。

「余市」香るパイナップルのババ。フランスの焼菓子の一種ですね。

最後に小菓子と珈琲を。

私はフレンチはクラシカル寄りのほうが本来は好きなので、ひらまつ系の料理は安心感があります。

せっかく徒歩圏にあるので北海道に拠点がある間は定期的に通いたいですね。