【東川口】Restaurant KAM レストラン カムのランチ(2021年6月)

東川口は川口の中では環境も良く落ち着いた住宅街で私自身も一時期住んでいたことがありますが埼玉高速鉄道が高いほかはなかなか住みやすい場所です。周辺は道路が良く、また複数の高速の入口が近いので様々な方面に行きやすく特にクルマを持っている人は更にです。もっと人気が出ても良い場所なのですが西川口と勘違いする人がいるのでそのへんも足を引っ張っているかもしれません。私が埼玉で一番だと思っているパティスリーである「アルカイク」も東川口にあります。

その東川口に2021年、いきなりイノベーティブなレストランがオープンしたのには正直びっくりしました。ちょっといい感じのお店は点在しているエリアなのですがこういうタイプのお店ができるとは思っていませんでしたので。何故ここかというとシェフの親族所有の家と聞いて納得です。東川口周辺は造園が盛んで少しクルマで走れば緑も豊か、昔からある家はどこもかなり庭が広いのでこちらのお宅もそういう1軒なのでしょう。あるいはお庭の木を見ると造園業なのかもしれません。

東川口は東京と那須を往復するときは車で必ず通る場所でもあり私たちには便利です。但しいつもクルマなのでこの日もお酒を飲めなかったのは残念でしたが。

こちらのレストランはシェフの本岡将さんとソムリエの田代圭佑さんの2名により運営しています。本岡さんが富士宮のレストラン ビオス、田代さんが三鷹のMaruta出身といえば食べ歩き好きの人はすぐにわかりますよね。更にはこちらの2人は幼馴染でレストラン名のKAMとはKeisuke and Masashi の意味なのです。二人は二十歳の頃から一緒にレストランをやろうと言っていたそうでそれもすごい話ですね。

そういえば本岡シェフはビオスが閉店した後にアートビオトーブ那須のレストラン「ミュー」の開業時の統括シェフもやっていました。那須と東川口と私にとって何かと縁を感じるレストランです。

レストランの門柱をくぐると立派な家が。このあたりの旧日光街道沿い周辺にはこういう雰囲気の家がとても多いです。6月だったのでアジサイがたくさん咲いていました。

中は天井が高くおそらくは9尺ぐらいはあるでしょうか。立派な建物ですね。

こんな広い空間で食事が楽しめるなんて贅沢な気分です。最初からお水も出してくれるのはひそかに嬉しいです。

お庭は自家菜園になっていて様々な野菜が育てられています。まさにファームトゥテーブルですね。

今回は昼夜ともに同価格のコースとノンアルコールのペアリングとでお願いしました。

料理は何しろ1年以上前の話なので少し勘違いしているものもあるかもしれないですがそこはご容赦ください。

あまりにも複雑すぎて覚えきれなかったのですがこちらのレストラン、ノンアルコールのペアリングが凝りに凝っているのです。ワインにはこだわっていてもノンアルコールというと子供だましの葡萄スカッシュみたいなのが出てくるところが多いのですが、ここでは積極的にノンアルコールを選びたくなるようなものばかりでした。

こちらリンゴを使ったスパークリングなのですが、単なるリンゴジュースではなく他のジュースを混ぜたりリンゴ自体にも工夫がしてあったりしてかなり複雑な味わいを出しています。メモしきれなかったのでいい加減な説明しかできないのが残念なのですが。

まず最初に焼き上げる前のローズマリーのフォカッチャを見せてくれます。出来上がりが楽しみですね。

アミューズは飴色になった玉ねぎのキッシュの上に36か月熟成のパルミジャーノレッジャーノチーズを振りかけたもの。本当ならこの時点でワインを注文しなくてはいられないほどです。濃厚なハーモニーが口の中に広がりいきなり幸せな気分に。

もちろんあっという間に平らげてしまいました。下にひいてある小玉ねぎは飾りですよ。

こちらは木いちごのガスパチョです。上に振りかけている野菜達も庭で採れたものですから新鮮そのものです。こちら中に具が入っていたのですが思い出せず。海鮮系だったと記憶しています。梅雨の曇り空も吹き飛ばすような濃厚ながらもさわやかな一品でした。

こちらはフォカッチャとはまた別でこちら栗の天然酵母で発酵させたバゲットです。

こちら柑橘と胡椒(生姜だったかも)を使ったドリンクでしたかね。こうなってくるともうニュアンスとしてはワインと変わらないですね。

やにやらスモークされたものがやってきました。こちらヒッコリーの葉で燻製した煙のようです。

こちらはシェフのレストラン ビオス時代のスペシャリテ 自家製リコッタチーズですね。写真だと見えづらいですがエキストラバージンオリーブオイルが内部にかかっています。

引き出しを開けるとカトラリーが出てきます。

こちらはハイビスカスや酢酸を使った少し酸味のある味わいのもの。

続いては庭の畑で採れた野菜達のサラダです。ベーコンミルクソースで浸していきます。

見た目にも美しいですね。このまま飾りたくなるぐらいです。

これだとサラダにどんな具がはいっているかわかりづらいので少し表面をかき分けて・・・

こういったトマトや根菜も庭で採れたものです。

フォカッチャも焼き上がってきました。

見るからに美味しそうですね。もっちもちが香りがあって出来立ての熱々はもちろん美味しかったですよ。

これはエルダーフラワーをメインに使ったジュースだったと思います。

魚料理。身がふっくらとしていて火の通り具合もちょうど良かったですね。

こちらのドリンクはブルーベリーと渋柿を使ったものだったかと。

肉料理は鴨じゃなかった気がするので鳩かな。これまた美しい皿ですね。前菜系はイノベーティブなものが多いのに比較してメインの魚や肉料理は比較的王道な料理なので、イノベーティブが苦手な人でもトータルで満足できるのではないでしょうか。

ここはノンアルコールカクテルの実験のコーナー?です。醤油をスプレーで吹きかけて味の変化を楽しむのですがへぇーと思いました。

デザートにはチョコレートのスフレが。スフレなんて西麻布と広尾の間にあった「ル・スフレ」(現在は参宮橋に移転)で食べた以来かも。手間がかかるデザートなのでフランス料理店でもあまり出てこないですよね。上にはパッションフルーツも。

写真を悠長に撮っているとしぼんできますから早く食べないとです。

最後はフィナンシェとほおずきにホワイトチョコをコーティングしたもの。

いずれも手がかかっていて最後まで全く手抜きのない内容でした。

やはり東川口という立地がネックなのか想像したほどには有名ではないようですが、飯田橋から南北線直通電車で38分かけて日本一高い埼玉高速鉄道に乗ってでも行く価値のあるレストランだと思います。