日本庭園 有楽苑と国宝茶室 如庵 を見学(2022年9月)

有楽苑には通常1200円の入園料がかかりますが、同じ名古屋鉄道の所有ということでホテルインディゴ犬山有楽苑宿泊者は無料で見学することができます。

国宝茶室 如庵は織田信長の実弟である織田有楽斎が晩年に武家を棄てて京都建仁寺の正伝院に隠棲し、その際に境内に建てた茶室が後にこちらに移築されたもので、現存する国宝茶席三名席のひとつだそうです。ちなみに後の2つは京都山崎妙喜庵の待庵と大徳寺龍光院の密庵で、龍光院は密庵も含め一般の人が拝観することが一切できません。

それでは有楽苑の中へ。有楽苑は歴史的にも価値のある様々なものが移築されています。

こんな感じの道を歩いていきます。

順路のとおりにしばらく歩いて最初に目にするのが元庵の中門。

門をくぐって奥へ。

「藤村庸軒旧蔵石灯籠」藤村庸軒が所有していた石灯籠。藤村庸軒は千宗旦の高弟四人のうちの一人(宗旦四天王)で、庸軒流の祖と言われています。

「岩栖門」文明年間に細川満元が京都新町頭に建立した武家屋敷岩栖院の唐門として伝えられています。

その岩栖門から見たインディゴ犬山。ほんとすぐそばですね。

この日は朝から暑くてゆっくり歩いているだけでも汗が出てきました。

含翠門。三井家の大磯別邸にあったもので伝来は不明。

重要文化財の「旧正伝院書院」。元和4年に如庵に隣接して建てられた有楽斎の隠居所。内部には長谷川等伯、狩野山雪の襖絵が残っています。こちらも三井家にあったものが移築されています。

下の写真が「国宝如庵(じょあん)」。普段は内部は非公開となっていますがが定期的に見学会が行われます。写真にはあげませんが、この日は格子の隙間から少し中をのぞかせてもらいました。

茶室の中の様子は名鉄(名古屋鉄道)のWEBサイトからご覧ください。

https://www.meitetsu.co.jp/urakuen/joan/index.html

でまた東京・日本橋の三井記念美術館にも如庵の内部が再現されています。

https://www.mitsui-museum.jp/inex.html

こちらの如庵の建物は各地を転々としています。元々正伝院があった場所は明治期に京都府が窮民産業所設立のため引き渡しを命じたため如庵や書院は売却の対象となり当時の三井家が購入、現在の六本木周辺にあたる三井本家に移築されました。また昭和11年には都内だと大火や震災による焼失のリスクが高いことから三井高棟の大磯の別荘にさらに移築されています。もし都内にそのままあったらおそらくは東京大空襲の際に焼失していたものと思います。

その後昭和45年に大磯の城山荘が三井家の所有から離れることになり、その際に書院や如庵(と他のいくつかの建造物)の建物は名鉄グループが購入、犬山の現在の地に移築されました。

「萱門」。三井家の大磯別邸にあった千家写しの門。門の高さが低くなっています。

「元庵」。有楽斎が大阪・天満に構えた茶室を再現したもの。

とても見ごたえのある内容で、無料で見学させてもらえたのが申し訳ないぐらいでした。