エースホテル京都は地下鉄烏丸御池駅と直接つながっている新風館の中にあります。この新風館の一部は旧京都中央電話局でありモダニズム建築の建築家である吉田哲郎の設計です。代表作として現在KITTE東京として一部外観が残っている東京中央郵便局が有名でしょうか。同じく吉田哲郎の設計である大阪中央郵便局は残念ながら完全に取り壊されてしまいましたが。
ホテルは新館と旧京都中央電話局の建物を利用した旧館に分かれますが、今回はせっかくですので旧館のほうに宿泊したくヒストリックツインルームを選択しました。
予約はHafHからです。というのも晩秋のこの時期、他の予約サイトだとかなり高額になっていたのですがHafHのほうはコイン数はかなり多いながらも他の時期と差がなく相対的にお得に感じたからです。
最初少し早めにホテルにつきましたがチェックイン時間については結構厳格で早めに入れてもらえるということはなかったです。というわけであらためてチェックイン時間ちょうどくらいに訪問しました。
キーをもらって自身でお部屋に向かいます。
ちょっとこの写真だと変わりづらいですが壁に吊り下げられているのは鹿児島しょうぶ学園のファブリックアート作品です。
ホテル全体のインテリアデザイン監修はコミューンデザイン、建築デザインについてはお馴染み隈研吾氏です。できれば隈研吾氏以外にしてほしかった。別に嫌いなわけではなく日本中は隈建築ばかりになってしまうと画一的だし面白くないという理由です。
館内は様々なアーティストとコラボした空間となっています。
エレベーターホールの奥の大日如来はヒステリックグラマーのデザイナーである北村信彦氏のデザイン。私が学生だった頃のブランドというイメージだったのですが再び人気が出てきているのでしょうか。
館内のあちこちや部屋にあるタペストリーは染色工芸家の柚木沙弥郎氏の作品です。
エレベーターを降りたらまずは新館ゾーンを通って。。。こちらは普通のホテルっぽいですね。
そしてヒストリックツインルームがある旧館のゾーンへ。天井が高いです。
振り返ったところ。直射日光が激しく当たるのでシェードがかかっています。夏は廊下がかなり暑くなるのではないでしょうか。
各部屋の入り口部分はこんな感じです。
それではお部屋の中へ。
ヒストリックツインルームは48平米ですが独特のレイアウトや構造上の制限もあってはそれほど広くは見えません。ただベッド部分の天井の高い部分などは昔、リニューアル前の東京ステーションホテルに宿泊した時のことを少し思い出しました。
このリビングエリアのファブリックはミナペルホネンです。壁のアートは先ほどのタペストリーと同じく柚木沙弥郎氏の作品です。
反対側はミニバーやデスクがあります。
古い建物を利用しているためどうしても自由度は低いですがうまく空間を利用していますね。
ツインと言ってもベッド幅が広くスリムな人とか大人と子供2人であれば合計4人寝られそうです。もちろん大人の定員は2名だと思いますが。このタイプのお部屋にはレコードプレーヤーの他にギターも置いてあります。弾けるわけではありませんが少し見よう見まねで鳴らしてみたところもっと楽器とか演奏できるようになっていたら良かったなあと。
こちらのカーテンとランプシェードもミナペルホネンです。余談ですが一時期しまむらがミナペルホネン風の模様のカーペットを出したことがありましたが瞬殺で売り切れて買えませんでした。那須別宅用にちょうど良いなあと思ったのですが。しまむら、昔はたまーにデザイン面でも掘り出し物があったのですが最近はさっぱりです。ミナペルホネンと言えばデザイナーの皆川明氏がディレクションした一棟貸しのホテルが瀬戸内の豊島にありますね。また皆川氏はワコールや建築家の中村好文氏と組んで京の町家を再生しホテルとして貸し出すプロジェクトも進めていました。
ミネラルウォーターは環境を意識して紙パックのタイプ。
チボリオーディオとレコードプレーヤーがあります。チボリ、ラジオとして聞くには良いのでしょうけどスピーカーとしてこれを備えるのは何とも言えないところです。もちろんBluetoothスピーカーとしても機能しますが。レコードプレーヤーはティアック(TEAC)のターンテーブルTN-300です。
お部屋ごとに置いてあるレコードは違います。
シティポップの人気を反映してでしょうか杉山清貴&オメガトライブのデビューアルバム「AQUA CITY」もありました。
ミニバーはスナック類が豊富で普通のホテルにはあまり置いていないラインナップですね。このあたりインディゴにちょっと似ています。
右にある湯呑は笠間焼の伝統工芸士に認定されている額賀章夫氏のものです。その隣のスリップウェアの豆皿は益子で製陶業を営んでいる伊藤丈浩氏の作品です。
冷蔵庫にはブルックリンラガーもありますね。
バスローブはカナダのブランド、ウイングスアンドホーンズの特注品です。最近増えてきましたがこちらスウェット地のバスローブで着心地もなかなか良いです。
こちらのホウキが「掃除してください」「あとでまた」の印となります。
カードキーもこういうホテルですからもちろん木製のもの。エースホテルは使い捨てのものに関して可能な限りプラスチック製品を減らしています。私はそれについてはちょっと異議ありなのですが。。
洗面カウンターはダブルシンクです。木の質感を活かした日本旅館のような洗面台ですね。エースホテル京都のコンセプトである「East Meets West」を表しているひとつでしょうか。
歯ブラシも当然ながら木製というか生分解性の竹製アメニティです。
ソープディッシュは鹿児島しょうぶ学園の生徒たちが描いたものです。
黒いタイルの浴室は格好が良いのですが掃除が大変ですね。写真ではあまりわからないように撮っていますが事実すでに水垢がかなり目立ち始めていました。完璧に美しく保てないのであれば避けるべき素材だと思います。
バスアメニティーはトータルビューティーカンパニーのuka製で世界中のエースホテルで使われています。日本発のバスアメニティーがグローバルで使われるのは珍しいですね。
日本型の深い浴槽。ゆっくりと入浴を楽しめます。
手洗いカウンター付きの独立したトイレ。
日中はロビーフロアは宿泊客以外も含め多くのゲストで賑わっており写真が撮れませんでしたので夜に撮影しました。このあたり隈研吾全開のデザインですね。
ポットの印はポートランドが発祥のStumptown Coffee Roasters(スタンプタウン・コーヒー・ロースターズ)です。いわゆるサードウェーブコーヒーの代表格ですね。日本では京都が海外初出展です。エースホテルも何となくポートランドが発祥のように思ってしまいますが、こちらはシアトルが発祥ですね。
エースホテルがライフスタイルホテルの先駆けと言われることが多いですが、開業年で言うと現在はIHGグループにはいったキンプトンのほうが古いです。ムーブメントを起こしたという意味ではエースホテルなのかもしれませんが。ロビー部分が解放されて宿泊客と訪問客が交差した状態となっているのも両ホテルとも同様で新宿のキンプトンのカフェも多くのゲストで賑わっています。
本国のエースホテルには宿泊したことはないので正確な比較はできないですが、キンプトンと比較するとエースホテルのほうがよりカジュアル色が強いように感じます。キンプトンは「とんでもなくパーソナル」というコンセプトですがゲストへの寄り添い方など大いにフレンドリーでありながらもよりラグジュアリーカテゴリに近いおもてなしのようにも感じます。
いずれにも感じるのは本国のゲストの各ホテルグループへの思い入れの強さですかね。新宿のキンプトンで外国人ゲストを観察しているとこの人はアメリカでも各地のキンプトンに宿泊しているのだろうなと思うようなタイプの人が多いです。
こちらは新風館のホテル以外のテナント側ですね。
新風館の中庭部分。
今回はホテル内のレストランは利用しなかったのですが以前に京都を訪れた際に「ミスター・モーリスズ・イタリアン」を利用したことがあります。
今回出かけている時間が長かったのであらためて振りかえってみるとあまりホテル内の各種アートにふれたり、ホテル内でのんびり過ごす時間が少なかった気がしました。ちょっともったいなかったので次回宿泊することがあればもう少しアート作品や選び抜かれた品々にも目を向けようと思います。